1973年生まれのまる男は小学校1年の頃から、ある理由でプロも通うボクシングジムで学校以外、ボクシング漬けだった。そして、中学校、友達に誘われて野球部に入る。運動神経は怪物だけど、常識のだいぶずれた少年の物語である。
夏も近づき、来週から市内大会が始まる。1年生のまる男たちは今日も球拾い中心の練習を終え、グランド整備をしている。すると、マネージャーの今日子がまる男の真後ろまで近づいてきた。まる男の肩に人差し指でツンツンとつつき、用事があることを伝える。この遠慮がちな人の呼び方が、この娘の方法だ。まる男はこの娘に呼ばれるのは初めてだったので、くすぐったさで、身をよじらせながら、今日子の方を向いた。
「吉田君が、まる男君のこと、監督にレギュラーにするべきだって、推薦した所を見たよ」
吉田とは、3年生のセカンドを守る先輩だ。3年生になってメキメキと力をつけ、打撃では、一番の実力を発揮している。努力家なこの先輩は、いつも朝練が始まる30分前にグラウンドに来て素振りをしている。これまた1時間前から素振りしているまる男が唯一、3年生で世間話をする先輩だ。寡黙なこの先輩もまる男の前ではよく笑顔を見せる。お笑い好きのまる男にとって、大切な小観客のひとりだ。そして、2人が朝練前に素振りをしているのを知っているのは、グラウンドにいつも3番目に来る今日子だけだ。今日子は、すぐにマネージャー業務にはいるので、まる男と話す機会はないが、お互いに早く来ていることには感心している。
「えっ。レギュラーですか?」まる男は無表情で答えた。
今日子は嬉しそうにまる男の表情を探る。
「そう、吉田君、まる男君のこと、買ってんだよ。努力も認めてるって」
まる男は眉間にしわを寄せて
「そうですか。ん~・・でもなぁ・・・」
今日子はまる男の意外な反応に不満だ。
「何?嫌なの?レギュラー。
皆それになる為、頑張ってんだよ。3年生でなれない人がいるなか、1年で、なんてラッキーじゃない?」
まる男は帽子の上から頭を掻きながら気まずそうに今日子を見上げた。
「いや。俺は、レギュラーよりブレンドの方がいいんんですよね。確かにブレンドの方が安いですよ。
安いけど、・・・その店の一番の自慢の味は、ブレンドだと思うんですよ。
吉田先輩の事は嬉しいんですけど・・・」
丁度、部室から制服姿で出ていく吉田先輩を見つけると、ようく見ながら言った。
今日子は手の平を縦にし、左右に振りつつ言う。
「いや。いや。コーヒーの話じゃないから」
まる男はキョトンとした顔でいう。
「えっ。じゃあ紅茶?ブレンドは聞いたことあるけど。レギュラーって・・・」
今日子は半笑いで怒鳴る。
「紅茶でもない!」
まる男は意味が分からないといった表情でせめる。
「じゃあ。他のどんな飲み物なんですか?」
今日子は半笑いで言う。
「飲み物でもない!」
今日子はどんどん声に力が入らなくなっていくのを感じるのであった
。
・・・
梅雨の晴れ間の爽やかな風が2人の間を駆け抜けていく。
夏も近づき、来週から市内大会が始まる。1年生のまる男たちは今日も球拾い中心の練習を終え、グランド整備をしている。すると、マネージャーの今日子がまる男の真後ろまで近づいてきた。まる男の肩に人差し指でツンツンとつつき、用事があることを伝える。この遠慮がちな人の呼び方が、この娘の方法だ。まる男はこの娘に呼ばれるのは初めてだったので、くすぐったさで、身をよじらせながら、今日子の方を向いた。
「吉田君が、まる男君のこと、監督にレギュラーにするべきだって、推薦した所を見たよ」
吉田とは、3年生のセカンドを守る先輩だ。3年生になってメキメキと力をつけ、打撃では、一番の実力を発揮している。努力家なこの先輩は、いつも朝練が始まる30分前にグラウンドに来て素振りをしている。これまた1時間前から素振りしているまる男が唯一、3年生で世間話をする先輩だ。寡黙なこの先輩もまる男の前ではよく笑顔を見せる。お笑い好きのまる男にとって、大切な小観客のひとりだ。そして、2人が朝練前に素振りをしているのを知っているのは、グラウンドにいつも3番目に来る今日子だけだ。今日子は、すぐにマネージャー業務にはいるので、まる男と話す機会はないが、お互いに早く来ていることには感心している。
「えっ。レギュラーですか?」まる男は無表情で答えた。
今日子は嬉しそうにまる男の表情を探る。
「そう、吉田君、まる男君のこと、買ってんだよ。努力も認めてるって」
まる男は眉間にしわを寄せて
「そうですか。ん~・・でもなぁ・・・」
今日子はまる男の意外な反応に不満だ。
「何?嫌なの?レギュラー。
皆それになる為、頑張ってんだよ。3年生でなれない人がいるなか、1年で、なんてラッキーじゃない?」
まる男は帽子の上から頭を掻きながら気まずそうに今日子を見上げた。
「いや。俺は、レギュラーよりブレンドの方がいいんんですよね。確かにブレンドの方が安いですよ。
安いけど、・・・その店の一番の自慢の味は、ブレンドだと思うんですよ。
吉田先輩の事は嬉しいんですけど・・・」
丁度、部室から制服姿で出ていく吉田先輩を見つけると、ようく見ながら言った。
今日子は手の平を縦にし、左右に振りつつ言う。
「いや。いや。コーヒーの話じゃないから」
まる男はキョトンとした顔でいう。
「えっ。じゃあ紅茶?ブレンドは聞いたことあるけど。レギュラーって・・・」
今日子は半笑いで怒鳴る。
「紅茶でもない!」
まる男は意味が分からないといった表情でせめる。
「じゃあ。他のどんな飲み物なんですか?」
今日子は半笑いで言う。
「飲み物でもない!」
今日子はどんどん声に力が入らなくなっていくのを感じるのであった
。・・・
梅雨の晴れ間の爽やかな風が2人の間を駆け抜けていく。
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