まる男411973年生まれのまる男は小学校1年の頃から、ある理由でプロも通うボクシングジムで学校以外、ボクシング漬けだった。そして、中学校、友達に誘われて野球部に入る。運動神経は怪物だけど、常識のだいぶずれた少年の物語である。


「お前のそういうところが、日和見ってんだよ!いつも足して2で割るだろう!」
日曜日の練習を午前なら練習前に30分、午後なら練習後に30分、全員で自主練をしようというキャプテン。それを嫌がる副キャプテン。その間に入った、たまたま部室で、角郎とあわせて4人で着替えをしていた、まる男は「希望者だけにしては?」と提案した。
 副キャプテンは自分が多めに練習するのが嫌な訳でなく、それぞれ部員たちには理由があり、監督の指示なら当然としても、生徒のキャプテンが勝手に決めるのはどうかと思った。
 それが、反対の理由だったが、キャプテンには、副キャプテンが練習を多めにやるのが嫌なのかと思ったのだ。一緒に全国大会に出ようと2人で誓ったのにその努力をしたがらないのには不満だった。それに、キャプテンは、全員が上を目指すのが当然という考えだった。だから、練習を多めは皆が賛成するのが当然だった。「止めたほうがいい」という副キャプテンの意見もさることながら、希望者だけというまる男の意見も気にいらない。それが、冒頭の怒りの言葉だ。副キャプテンと意見の相違があったことで、まる男への八つ当たりがあったことも自覚していた。だから、怒鳴った後は少しの後悔があった。その証拠に怒った時の彼の癖、受け口になる事はなかった。
「な!足して2で割る・・・ですか?」
まる男の顔からは、マイナスの表情は見えない。
「そうだ。足して2で割る。だ!お前はいつもそれだ!」
キャプテンは収まりがつかなくなっていた。
まる男は帽子の上から頭を掻きながら
「え~足して2で割るって、アルバート公がヴィクトリア女王に言った言葉と同じじゃないですか?
いや~女王と同じなんて、キャプテン褒めすぎですよ~」
まる男のにやけ顔は止まらない。
「いや。一応。悪口なんだけど・・・」
弱々しく言うキャプテンの肩に角郎は手を置いた。
「まる男に悪口言っても無駄ですよ。
この間、アホって言ったら、アホの坂田と同じ称号だ!ってよろこんでんですから。
バカには勝てませんて」
まる男は角郎を指さす。
「だから、バカは俺に言っちゃダメって、ワシントン条約で決められてんんだぞ」
角郎はキャプテンの肩に手を回しながら、まる男は無視して言った。
「ね。本気でワシントン条約でまる男を守らんと、と思うでしょ」