小学校5年生の時、まる男と初めて同じクラスになった垂也。その年、垂也には超能力がある事が判明した。まる男の消しゴムを1cm伸ばして大きくする事が出来るのだ。中学でも3年間まる男、垂也、角郎は同じクラスであり続けた。

これも超能力?コレは確信がない


(*今回はマドンナというあだ名の女の子が主役です)



中学2年生、7月の始め、1時間目の休み時間

この頃夏の朝は涼しかった

まる男が消しゴムを無くした。そう言って騒いでる。

まただ、困った事があるとすぐ周囲に助けを求めると垂也は思った。

ま、頼られるのも悪く無いがね。

秘密にしてるまる男の消しゴムを1cm大きくする超能力を使った。誰かが持ってるのであれば何らかの反応があるだろう、と思ったからだ。教室内を見渡したが変化は無かった。見落とした?次の休み時間も使おう。




隣のクラスの娘が朝、廊下で消しゴムを拾った。まる男のクラスの前を通った時だ。

誰のかな?と周囲を見渡したが誰もいない。

その時、クラスメートが話しかけてきた

「マドンナー!いい所に居た。宿題写させて~」

美人でお調子者、楽しい話をするのが好きな消しゴムを拾った娘はクラスではマドンナと呼ばれていた。クラスの女子だけで体操着に着替える時、冗談で「クラスのマドンナの着替えショー」と言って制服を脱いだのが皆、楽しかったらしくそのままマドンナのあだ名になったのだ。

だが、その名は体を表してたかもしれない。

確かに顔は整ってたし、男子からも人気があった。

マドンナは慌ててワイシャツの胸ポケットに拾った消しゴムをしまうとクラスメートの元に小走りで近づいて行った。消しゴムは無意識にポケットに入れてしまったのだ。


1時間目

マドンナはある男子を思い出した。クラスメートであだ名は「ドスコイ」。小太りな背の高い男子で口数は少ないがよく笑う子であった。アレは愛想笑いだろうとマドンナは踏んでいた。あまり接したくはないな。そんなタイプだった。何かの理由で話しかけたが「う…あ…う…」とうめく様に声を出しただけだった。

言っちゃ悪いが気持ち悪いとも思った。

今、その男子を思い出したのは、昨日、その子が赤信号でおばあさんが渡るのを手伝ったからだ。

青信号で渡り始めたおばあさん、あまりにゆっくりに進むので途中で赤信号になってしまった。

ドスコイは血相変えて走り寄るとおばあさんを守る様にゆっくり一緒に歩いた。その時のドスコイの瞳の輝きは忘れられない。

そんな面もあるのか。と驚いて見ているとおばあさんと話し終え、別れるとこちらへ歩いて来た。そしてマドンナを見付ける。驚いた顔。次に顔を下に伏せ走って横を通り過ぎた。「ムシしやがって・・・」とマドンナは微笑で独り言を呟いた。まぁ少し見直したのだ。


1時間目の休み時間、垂也は消しゴムをまだ探しているまる男を手伝う為に超能力を使った。

消しゴムは1cm大きくなり重くなったはずだ

しかしクラスでは反応がない。


同じく1時間目の休み時間の隣のクラス

マドンナはいつもの様に親友たちと談笑してた。背の高い堂々とした体躯の男子2人と、美人でいつもニコニコお淑やかな娘と、大きな瞳の小太りで勝気な5人。小太りの娘を中心にマドンナがおどけて5人は笑っていた。

その時、ドーン!教室の前の方から大きな音が鳴った。

ドスコイとその友達が箒でチャンバラごっこをし、ドアにぶつかった。

すかさず小太りの娘が親友たちに聞こえる声で「あーやだやだ」と言った。他には聞こえない様にの配慮がある。

マドンナはドスコイを見た。見た瞬間、胸の周りが下に引っ張られる感覚があった。

(これって・・・)思った瞬間、顔をぶんぶんと振った。・・・今は冷静だ。


2時間目の休み時間、垂也は再びまる男の為に消しゴムを大きくする超能力を使った

反応はない


同じく2時間目の休み時間、隣のクラス

マドンナはお淑やかな娘と2人でトイレに行った。用を済ますとクラスへ帰る。教室の前の方を通り過ぎるとドスコイが見えた。その瞬間、また胸の辺りが下に引っ張られる感覚が来た。

ポーカーフェイスを装ったまま、ゆっくり教室の自分の席に戻る。赤面してないか?気になったが友人達は何も言わない。


3時間目の休み時間、垂也は三たび超能力を使う

反応はない


3時間目の休み時間、隣のクラス

マドンナはボ~っとドスコイを見ていた。ドスコイはブサイクな友人たちと何か笑いながら踊ってる。踊ると言ってもカッコいい踊りではなく、お笑い番組の真似のおどけた踊りだ。楽しそうだ。心が温まる。

また胸の辺りが少し下に引っ張られた。


昼休み

給食はカレーだった。マドンナはあまり好きでは無かった。味が、というよりカレーの汁が飛んだりして服を汚したりするのが嫌だった。普段の時もオシャレした服が汚れたり制服が汚れるのも嫌だ。

まぁ、カレーうどんよりはマシかな?

その時ドスコイが騒いでるのが耳に入った。

「やったー。カレーだー!俺、大好きー!」と叫んだ

そう言えば、カレーは味が良いという美点がある。食べ物としては優秀だし、好物の1つに入れるかな。


5時間目の休み時間

この心に決着をつける為に授業が終わると真っ直ぐにドスコイの前までスタスタと歩いて行った。ドスコイをジッと見つめる。

ドスコイは驚いて座ったままマドンナを見上げた。

5分が経った。マドンナは口を開く。

「給食のカレー、おかわりしてたね。」

あっけに取られるドスコイは口ごもった

「あ…ぅ…ぁ…ぅ…」

その間ずっと胸の辺りは下に引っ張られる感覚だった

「あたし、あんたが好き!」

周囲は驚きで息を飲む。ドスコイも驚いていた。そのまま走って自分の席に戻ると顔を机に伏した。


6時間目の授業が始まった

普通に授業を受ける。周囲は好奇心でかチラチラこちらを見てる。何か話そうと小太りの娘が後ろを向いてマドンナに話しかけようとした。

そこで、気付く

「あんたのワイシャツの胸ポケットに入ってるその棒は何?」

マドンナも自分のワイシャツの胸ポケットを見た

大きな消しゴムが胸ポケットに入ってその重みで左の方が服が下がってる。

ん?下に引っ張られる?

「あーーーーーー!」

大きな声で放たれたその声は隣のクラスまで響いた。どうやら胸が下に引っ張られるのはこの消しゴムのせいだ。


ドスコイにはどうしよう。「無かった事にしろ」とはお淑やかな美人の意見だ。

何故、あんな大きな消しゴムがワイシャツの胸ポケットに入っていたのであろう。

う~ん、胸の辺りが下に引っ張られる感覚

は恋の感覚ではないのであろうなー

ホントはどんな感覚なんだろう

マドンナは家に帰ると今日も好物の柴漬けにお茶を飲んでおやつとしていた


消しゴムは元々3cm程、垂也の超能力で6cmの大きな物になっていた。

もう誰もまる男の消しゴムだとは思わない


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