1973年生まれのまる男は小学校1年の頃から、ある理由でプロも通うボクシングジムで学校以外、ボクシング漬けだった。そして、中学校、友達に誘われて野球部に入る。運動神経は怪物だけど、常識のだいぶずれた少年と少し奥手な仲間たちの物語である


雨降るこの日
まる男は4時間目が終わると
洗面所に行き、念入りに手を洗った
帰って来ると
「いやー、手にはばい菌がいっぱい付いてるからな。手を洗わなきゃ。メシなんて食えねーよ」
頭をカキカキ言ってる

近くで見ていた麻子は
(どーせ昨日のテレビかなんかで言ってたんだろう?いつまで続く事やら)
と思いつつまる男を見る
まる男はいつも通りゆっくり食べてる
今日は唐揚げ弁当の様だ
麻子はいつも通り手洗いを済ませて席に着いた
そして友人たちと弁当を開ける
いつも通りの小さな歓声をあげ褒め合った後に食事だ

と、そこに極道(権藤先生のあだな、この学校で生徒たちに一番恐れられてる)が通りかかる
まる男は唐揚げをつまんだままのハシで極道を指差す
「あー飯ねーのかよ!極道!さては美人の奥さんに逃げられたなー!」
「いやメシは職員室だよ。まる男がいたずらしてねーか。見に来たんだよ!」

極道が返すとまる男はうっかり唐揚げをハシから落とした
タイルの床だが皆が上履きで踏みつけた跡が残ってる
極道がからかう
「はっはっは変な事言うからバチが当たったんだ!」
まる男は顔色を変えることなく唐揚げを口に入れモグモグさせながら不思議そうな顔をした
「へ?…何が?」
極道の笑いは止まった
「う。うん。まる男はそうだよな。それはまる男にとってバチでないよな」

(ばい菌が怖いからって洗ったのは何だったんだよ!)
麻子は心の中でまる男にツッコミを入れた

梅雨の合間の晴れた空には唐揚げになった肉の、仲間たちが空を飛んでいた

まる男171