第1話
天使との出会い
悪魔ファルディアが覚醒した。
悪魔と言っても下っ端で、天使とコンビを組んで、人を悪の道に導く言葉を、その人の潜在意識に投げかけるのが悪魔の仕事だ。
ちなみに天使は同時に善の道へ導く言葉を人間の潜在意識に投げかける
(潜在意識とは無意識の事で自分は気付いてないが私たちの行動や感情に影響を与えてるもの)
この世界では悪魔と天使は対立構造にあるのでは無く、協力して人間を鍛える存在である。人間を鍛えてどううするの?との質問には天使たちも悪魔たちも知らない。そんなことは考えたこともない。ただ仕事をするだけだ。
これから配属される人間はどんなやつだろう
そんな事を考えながら地獄から現世へと昇る
「よっ」
天使が笑顔で手を顔の横に上げられた。幼児の様な可愛らしい顔で身体には背中には鷹の翼を持つ。頭には認証バッチとして天使の輪が浮いてる。笑顔も魅力的だ。悪魔ファルディアはキレイなタキシードに身を包み、魅惑的な笑顔で挨拶をする。
今回付いた人間は走谷誠十郎。
時代劇俳優みたいな名前だな。ファルディアは思ったが口にはしなかった。代わりに悪態をつく。
「あー美女なら良かったのになー」
最初にかましてやった。ファルディアは自分がどんなに扱いづらいか天使に分からせてやったのだ。
コンビの天使とは基本的に仲が悪い。徳の高い存在が天使となり低いのが悪魔として選ばれるからだ。価値観が合わないので喧嘩も絶えない。
それが面白かったりもした。
悪魔と天使が地についた時、走谷誠十郎(これからは誠十郎と表記)は学校帰りでそのまま塾へと行く途中だった。人の通らない路地を1人歩いて行く、中学に入学したのが2か月程前で今は梅雨時だった。この日は太陽が温かかった。雲は多いが合間に青い空が透き通っていた。校則通りに駅を避けて隣の踏切を渡ると真っ直ぐに歩く、右に曲がると更に細い路地。そちらを見ると路地の先に白い紙が落ちている。
「あ。お金だ」
誠十郎は周囲を見回しながらお札を拾った。1万円札だ。しかも新札だ。
「貰っちまえ!それで美味しい酒でも飲もうぜ」
ファルディアは唇の片側を釣りあげて言った。
天使の番だ。天使は路地の更に先の交差してる大きな道に見える店を指差して言った。
「なー。あの八百屋の紫の野菜、那須って表記されてるぞwどんな味かなー」
「?」
ファルディアは誠十郎でなく天使を2度見した。
誠十郎は一瞬、お金を自分の物にしようかと考えた。お菓子がいっぱい買えるぞ。しかし前方の八百屋の茄子の値札の表記が那須となっているのを見た。間違いをしたら嗤われるかも知れない。あー嗤われるのは嫌だ。
ファルディアの困惑をよそに誠十郎は交番へ行こうと決めた。交番は八百屋のある交差点を右に曲がって1分ほど歩いた所にある駅の前だ。誠十郎は歩き出す。
しかし・・・
ファルディアは誠十郎より天使の方が気になっていた。そして天使の顔をまざまざと見た。が、天使は気にせずに辺りをキョロキョロと見回してる。日本の田舎の風景が珍しい様だ。ファルディアも日本の田舎は初めてだが仕事が先ではないのか?
誠十郎が交番に向かう途中3人の屈強な少年たちと化粧の濃い少女に囲まれた。交差点の先からお金を拾ったのを見ていた様だ。そして、誠十郎をただ、じっと睨んでる。誠十郎は緊張で下を向く。細い路地は舗装されておらず土の地面には小石がそこら辺に転がっている。
ファルディアは言った。
「殴っちまえ!お前の凶暴性を見せつけろ」
天使
「スープをおかわり。と言え!」
ファルディア
「?!」
またファルディアは天使を2度見する。誠十郎は全速力で突然に駆けだし、交番へ走った。3人の少年と1人の少女の合わせて4人の隙をついて間をすり抜けてだ。あっけに取られた4人は正気に戻ると追いかけ始めた。が、交番に誠十郎がつくと、4人は諦めて戻って行った。
誠十郎はそこで息を整える。
交番には警察官が2人居る。2人の警察官は驚いて目をパチクリとさせて見ていたが誠十郎からお金を拾った話を聞き書類を誠十郎に記入させていた。
その間、天使は交番内のアチコチを物色していた。
「えーと…」
(こんな時は人間の背後で2匹で何か言わなくちゃいけないんじゃないの?)
ファルディアは天使を目で追いながら思った。誠十郎が手続きを済ませ、交番を出た。
4人に囲まれた時は怖かったが今はすがすがしい気分だ。やはり良い事をした後は気持が良い。
たしか、Youtubeの動画で「人は誰かの為になる事をした時の方が自分の為に行動してる時より幸せホルモンが出る」なんて言ってたな。
ファルディアも一緒に出て誠十郎を追うが天使はまだ交番内だ。(知るか!変なヤツ)交番を跡にした誠十郎は塾へ向かう。
アレ?空が青くて雲はちょっと少なくなったかな。なんて青い空の部分が良い気分のおかげで多く見える。
見てない時にこそ人の真価が発揮されるのかな?ダグザは1柱、天で更に天を仰いだ。
第2話へ続く
第2話「天使の夜道」
https://kurokoda64213.com/archives/25767152.html
第3話「スパイする天使」
https://kurokoda64213.com/archives/25768305.html
第4話「プーカの正体」
https://kurokoda64213.com/archives/25843251.html
第5話「逢引き」
https://kurokoda64213.com/archives/25855711.html
第6話「優しい誠十郎」
https://kurokoda64213.com/archives/25987840.html
第7話「スクールヴァルナの誠十郎」
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第8話「誠十郎、精一杯の切実」
https://kurokoda64213.com/archives/26206847.html
第9話「誠十郎、夜に駆けなさい」
https://kurokoda64213.com/archives/26244629.html
第10話「恋と誠」
https://kurokoda64213.com/archives/26302893.html
第11話「思考を抜けるとそこは雪国だった」
https://kurokoda64213.com/archives/26420719.html

コメント
コメント一覧 (2)
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kitaeru88643
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