第2話・俺はプーカ
誠十郎は塾で授業を受け終わると家路につく。暗い夜道を歩いている。もう20時を過ぎている。中学生の誠十郎にはまだ夜は長い。少々の恐怖を感じながらも、いつもの道を慣れた足取りで歩いていた。目の前には小学生が歩いている。
彼も塾帰りかな?誠十郎は無意識に予測をしていた。ファルディアは夜道を子供1人で歩かせることに違和感を覚えていた。前回の担当の人間はアメリカ人だった。子供は必ず大人が付き添って歩くのだ。
「ん?」
ファルディアが歩く小学生をじっと見ているとその背後に何かいる。背後霊か何かだろうか?悪霊だったりして。ちょっと恐怖を感じた。悪魔のくせに。
そんなことを考えていると、ファルディアの目に飛び込んだのは…
あいつだ!
子供の肩車の上で、天使が楽しそうに辺りを見回していた。時々、珍しいモノを見つけてはニヤッとしたり、よく見えないのか難しい顔になったりと表情豊かに周囲を見回していた。
(あいつは5歳児かよ!?)
少し考えながら天使が難しい顔をしながら見ている方を視線へ移した。何も見えない。すると背後から声が聞こえた。
「ああ、今回の天使くんは素敵だな。ほんとに賢くてハンサムで羨ましいな。そう言え」
とあいつの声だ。いつの間に、とファルディアは後ろを向いた。
「うわっ!」
ファルディアの目の前には誠十郎の顔のアップだ。誠十郎の体を通り抜け、肩から顔を出していた。誠十郎の口から声が聞こえたように感じてそっちを見てしまったのだ。
ファルディアは怒りの感情が湧いて来る。
💢
しかし
「サボってんじゃねぇよ。人間に命令しよーぜ」
天使がファルディアを見下しながら言うと屈辱に睨みながらファルディアは悔しそうに、しかし仕事は全うして言った。
「あの小学生から金を巻き上げろ。数百円はあるはずだ。それでなんか食おうぜー」
天使はニヤニヤしながら言った。
「誠十郎!悪魔のビックリした顔に表情変えずに居たお前は優しいな」
ファルディアは怒って天使を怒鳴りつけた。
「テメーは天使の仕事しろや!」
人差し指で天使の顔を指差す。
「プーカ。俺は天使プーカ」
ニコッと微笑したプーカはファルディアの指を握りつぶすつもりだろう力を入れて握った。
💢💢
「なぜ…指を…」
痛さで人差し指をさすりながらプーカを睨みつけるファルディア。
ウインクするプーカ。
💢💢💢
その瞬間にファルディアはプーカに殴りかかっていた。いや、プーカが乗っていた誠十郎の肩の上にパンチを一発!…しかし、空振りした。
「な、何で殴るんだよう」
プーカはカウンターでファルディアの頬にパンチだ。
誠十郎は一瞬、目の前の小学生を脅せばお金が手に入るかも?と考えた。しかし『優しい人になりなさい』という両親の言葉を思い出す。誠十郎はそのまま何事もなかったかのように歩き続けるのであった。
弱き者は助けるものさ。ダグザは天で黄昏た。
第3話へ続く
第3話「スパイする天使」
https://kurokoda64213.com/archives/25768305.html
第1話「天使プーカとの出会い」
https://kurokoda64213.com/archives/25744634.html
第4話「プーカの正体」
https://kurokoda64213.com/archives/25843251.html
第5話「逢引き」
https://kurokoda64213.com/archives/25855711.html
第6話「優しい誠十郎」
https://kurokoda64213.com/archives/25987840.html
第7話「スクールヴァルナの誠十郎」
https://kurokoda64213.com/archives/26043357.html
第8話「誠十郎、精一杯の切実」
https://kurokoda64213.com/archives/26206847.html
第9話「誠十郎、夜に駆けなさい」
https://kurokoda64213.com/archives/26244629.html
第10話「恋と誠」
https://kurokoda64213.com/archives/26302893.html
第11話「思考を抜けるとそこは雪国だった」
https://kurokoda64213.com/archives/26420719.html

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