第3話.スパイする天使



誠十郎は家に着いていた。2人がケンカをしてる間にだ。両親に帰宅の挨拶をして、夕食を済ませると2階の自分の部屋へ入る。無造作にカバンを放り投げ、ベッドに仰向けで横たわる。

遅れてファルディアとプーカがドアをすり抜けて部屋に入ってきた。
「いやー。良いものを見たなー」
プーカはほくほく顔でファルディアに言う。
「お前、よくあれを見つけたなー」
ファルディアもご機嫌だ。
2人は殴り合いの喧嘩をしてたが、途中でプーカの言葉によって止まった。
「あ。あそこの陰でキスしてる奴らがいるぞ」
さすがにファルディアもそちらに気を取られる。
喧嘩してるすぐ近くの路地で………詳細は割愛する。
ファルディアは曲がり角を陰にしてカップルを覗いたがプーカは直近10cmの所でじっと見てた。
(恥ずかしくないんかい)
とファルディアは思ったが
(プーカだもんな)
と自らを納得させる。

10分ほどでカップルは移動をし始めた。両方ともに明日は仕事で「帰らなければならない」と話しながら歩いて行った。
またキスをするかもしれないと思い、少し2人を追ったが5分ほど歩くと2方向に分かれて歩いていく。悪魔と天使は顔を見合わせてニヤニヤ笑いながら、しばらく感想を語り合い、その後、誠十郎の家に戻った。
誠十郎の部屋に戻ると勉強をしていた。塾の宿題をやっているよう。ファルディアが誠十郎が必死に読んでいる教科書を覗き込み、呟いた。
「あー、こいつの奴隷に配属されたんだよな」
一般的に知られているアメリカ南北戦争前後の奴隷ではない。オスマン帝国のハレムに入った奴隷の息子。皇帝の奴隷のことだ。イェニチェリの一員となり戦場に出るとすぐに戦死している。主人とはあのオスマン帝国最強のスルタン、メフメト2世だ。メフメト2世のコンスタンティノープル攻略。あの「艦隊の山越え」作戦を思い出し、ファルディアは興奮していた。あの奇策。あの皇帝の奴隷に付いた悪魔で良かった。誇りさえある。

どうやら世界史の勉強のようだ。
「え?誠十郎に奴隷になれって?」
プーカはニヤニヤしてる。
「違う!教科書に歴史が載っているんだよ。何でそんな事考えられて天使ができるんだよー」
ハンサムなタキシード姿で頬を膨らませて言うのは気持ちわりーなと思いながらファルディアの言葉にプーカが言った。
「そろそろ、忠告しねーか?」
ファルディア
「勉強なんてやめてゲームしようぜー」
プーカ
「全部間違えろ!で、先生には『これが都市伝説で通説だって言ってました』と言え」
ファルディア「???」
「お前は天使なんだから、勉強しろ。とか言うべきなんじゃねーのか?」
プーカはチラッとファルディアを見て
「だから素人は困る…」
と呟いている。
(コイツ、何か計算があって言ったのか?)

誠十郎は一瞬、勉強をやめてゲームをしようか迷った。勉強はつまらない。ゲーム機のある方を見ると一緒に本棚が見える。都市伝説の本もある。そっちを見ようか?いや、まずは学校の勉強で基礎知識をつける。それからのお楽しみだ。親友の歩も言ってたしな。親友でありライバルの歩には負けられない。基礎をしっかり身につけている歩にだけは先を越されるわけにはいかない!僕も、せめて同じくらいの努力をするんだ。
誠十郎は勉強を続けた。

やはり何事も基礎が大事だな。プーカはすぐに忘れる。ダグザは自らも省みて嘆息した。
 第4話に続く


第1話「天使プーカとの出会い」
https://kurokoda64213.com/archives/25744634.html

第2話「天使の夜道」
https://kurokoda64213.com/archives/25767152.html

第4話「プーカの正体」
https://kurokoda64213.com/archives/25843251.html

第5話「逢引き」
https://kurokoda64213.com/archives/25855711.html

第6話「優しい誠十郎」
https://kurokoda64213.com/archives/25987840.html

第7話「スクールヴァルナの誠十郎」
https://kurokoda64213.com/archives/26043357.html

第8話「誠十郎、精一杯の切実」
https://kurokoda64213.com/archives/26206847.html

第9話「誠十郎、夜に駆けなさい」
https://kurokoda64213.com/archives/26244629.html


第10話「恋と誠」

https://kurokoda64213.com/archives/26302893.html


第11話「思考を抜けるとそこは雪国だった」

https://kurokoda64213.com/archives/26420719.html


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