誠十郎は中学3年生になっていた
学業成績は常に学年トップテンに入る
その代わりに体育の授業はいつも通信簿で10段階の3ばかりだ
出席をし続付けたのでそれが評価されたのであろう
クラスではガリ勉グループと呼ばれる地位に居た
彼はそれで満足だ
将来を考えればそれが一番良いと思っていた
今は勉強を頑張れば大人になってから幸せになれる
そんな事を両親は言っていたのだ。疑問を抱きつつそれに従っていた

或る日下駄箱で靴を履こうと地面に靴を落とすとクラスの一軍である骨川君が声をかけてきた
「何。今日も帰ったらお勉強ですかー?」
誠十郎はまぶし気な気持ちで骨川君を見る
背は高いし、顔の造作も整っているし、なにより明るい性格で皆に好かれている
骨川君の様になりたかった
「いや、そろばん塾に行く日だよ。親がこれだけは習っておけ。だって。骨川君は?」
誠十郎は平静を装って応える
「フン。俺は部活だよ。今年こそ県大会にでるんだ!」
誠十郎は身近で明確な目標を持つ骨川君が羨ましかった
「ふ~ん。良いね」
呟いた
「は?バカにしてんのか?」
骨川君は誠十郎を睨む
「???」
誠十郎は混乱していた
羨ましい骨川君。バカにする要素は1つとしてない
骨川君は続ける
「俺はお前みたいに勉強が出来るわけじゃねーからな
金がねーから塾にも通えねーし・・・」
熱くなった自分を恥じたのか。
骨川君は下を向きながら靴を地面に落とす

そこでファルディアが言った
「惨めだなー。親のせいにするなよ。親ガチャ失敗したのか?と言え」
プーカ
「ラーの末裔だからピラミッドを作る夢がある。と言え」
💢

「バカにするなんて…。ただ、骨川君が羨ましくて…」
誠十郎は泣きそうな声だ
「え?俺が羨ましいの?」
意外な答えに驚いているらしい
消えそうな声で誠十郎は
「だって…誰とでも仲良くなれるし…皆骨川君を尊敬してるし…」
とまるで舞踏会に行く前のシンデレラだ
「僕なんて・・・」
靴を履きながら下へ下へと顔が向く
骨川君は今回の会話で一番に困ったのはこの時だ

骨川君は部活へ行き、誠十郎は帰途につく
ファルディアは呟いた
「骨川君は色々と悩んでいるんだな」
プーカもインスタ風に呟く
「学校の校門で、黄昏れる悪魔ナウ」
片側の口角を上げながらいやらしい忍び笑いをした
💢ファルディアは心中は怒っていたがプーカの行動には何か意味がるある筈だ
とプーカを観察した
プーカは足の付け根と胸を両手で隠しながら
「なんで、そんな目で見るの?」
ファルディアの葛藤は続く…


第1話「天使プーカとの出会い」
https://kurokoda64213.com/archives/25744634.html

第2話「天使の夜道」
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第3話「スパイする天使」
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第4話「プーカの正体」
https://kurokoda64213.com/archives/25843251.html

第5話「逢引き」
https://kurokoda64213.com/archives/25855711.html

第6話「優しい誠十郎」
https://kurokoda64213.com/archives/25987840.html

第8話「誠十郎、精一杯の切実」
https://kurokoda64213.com/archives/26206847.html

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