ぼんやりと赤く薄暗い西の空を眺めながら誠十郎は公園のベンチに座っていた
そこは、公園の茂みのそばで横の通りを歩く人には見えない
誠十郎は塾をサボっていた
いつもは、取り敢えずそこでクッキーを一枚頬張り甘く柔らかい食感を味わってから塾へと足を運んでいた
今日は気になり、その上カバンの中を確かめてみた
あっ教科書が1つない
イタチ、いや伊丹先生の授業のだった
先日、イタチの授業で消しゴムを忘れて怒られた
10分怒られ、受験シーズンのこの時期の貴重な時間を使ったと他の生徒たちにも白い目で見られた
で、今週は教科書だ
会わせる顔が無い
行くか迷っていると始業時間を過ぎていた
いや、いつの間にかではなく故意に過ぎるまで待ってしまったのだ
ぼ~っと夕日の見えない赤黒いまだらの曇り空を眺めていた
すると茂みの陰から聞き覚えのある2人の声が聞こえる
クラスの酢本君と隣のクラスの女子バスケ部のキャプテンの津木さんだ
しかも・・・告白してる!?
酢本君は緊張した面持ちで津木さんに
心中を伝えていた
「ごめんなさい」泣きながら言う津木さん
誠十郎は泣きたいのは酢本君では?
と顔を向けずに耳だけで場面を想像した。
津木さんはすぐに走って去っていく
しばらく、茫然としてた酢本君がこちらを向いた時、偶然にも誠十郎もそちらに顔を向けた
目が合う2人。酢本君は照れ笑いの後去って行った
1週間後、学校へ行くと酢本君が誠十郎を使われていない階段の踊り場に呼んだ
誠十郎は口止めされるのかな?でもこんな日にちが経ってからなんて遅いなぁ
と疑問を抱きつつ酢本君の後を行く
突然、左頬に鈍い痛みが走る
そして腹、そして左頬だ。
酢本君に殴られたのだ
「な、なに?!」
誠十郎が絶え絶え言うと
「てめー!あの公園の事、言いふらしたろー!」
酢本君は顔を真っ赤にして怒っている
「え?…え?知らないよ.僕は誰にも言ってない!」
酢本君の攻勢が止まる
「じゃ、じゃあ誰が言うんだよ!知ってんの、お前だけだろう!」
酢本君は誠十郎を直視出来ず窓の方へ顔をそむけた
「分からないよ・・・」
誠十郎の小さな声でも聞こえるほどに踊り場は静かだ
誠十郎と酢本君は数回のやりとりの後、教室に戻って行った
酢本くんはしきりに「ゴメン」と謝っている
ファルディアは目が離せなかった
恐怖が頭を支配する
身体の大きな酢本君が背の低い誠十郎を殴っている場面
それを見ながらファルディアは何人もの大人に殴られる自分を思い出していた
冷や汗はあごを伝って床に落ちていた
プーカはそれをジッと見つめていた
無表情だが目が優しい
そしてファルディアの頭を叩く
ト・ン・カ・チでだ
「てめー!プーカ!そりゃねーだろう。殺す気か!」
ファルディアは恐怖を忘れプーカを怒鳴った
「いやいやいや。殺すつもりなんてないよ!もう死んでるし」
ニヤニヤしながらお笑い芸人の真似をするプーカ
「ったく!」
しばらく下をむいたままでプーカから顔を隠して心の整理をする
そしてプーカに向かって何かを言おうと顔を上げた
が
?・・・プーカが居ない
どこだ・・・?
アッ!階段を降りてきた美人教師の手を握りながら一緒に階下へ歩いている
ニヤニヤした顔が気持ち悪い
(美人教師にはプーカの存在は気付かれていません)
何故か?ファルディアは心の中でプーカに感謝していた
そこは、公園の茂みのそばで横の通りを歩く人には見えない
誠十郎は塾をサボっていた
いつもは、取り敢えずそこでクッキーを一枚頬張り甘く柔らかい食感を味わってから塾へと足を運んでいた
今日は気になり、その上カバンの中を確かめてみた
あっ教科書が1つない
イタチ、いや伊丹先生の授業のだった
先日、イタチの授業で消しゴムを忘れて怒られた
10分怒られ、受験シーズンのこの時期の貴重な時間を使ったと他の生徒たちにも白い目で見られた
で、今週は教科書だ
会わせる顔が無い
行くか迷っていると始業時間を過ぎていた
いや、いつの間にかではなく故意に過ぎるまで待ってしまったのだ
ぼ~っと夕日の見えない赤黒いまだらの曇り空を眺めていた
すると茂みの陰から聞き覚えのある2人の声が聞こえる
クラスの酢本君と隣のクラスの女子バスケ部のキャプテンの津木さんだ
しかも・・・告白してる!?
酢本君は緊張した面持ちで津木さんに
心中を伝えていた
「ごめんなさい」泣きながら言う津木さん
誠十郎は泣きたいのは酢本君では?
と顔を向けずに耳だけで場面を想像した。
津木さんはすぐに走って去っていく
しばらく、茫然としてた酢本君がこちらを向いた時、偶然にも誠十郎もそちらに顔を向けた
目が合う2人。酢本君は照れ笑いの後去って行った
1週間後、学校へ行くと酢本君が誠十郎を使われていない階段の踊り場に呼んだ
誠十郎は口止めされるのかな?でもこんな日にちが経ってからなんて遅いなぁ
と疑問を抱きつつ酢本君の後を行く
突然、左頬に鈍い痛みが走る
そして腹、そして左頬だ。
酢本君に殴られたのだ
「な、なに?!」
誠十郎が絶え絶え言うと
「てめー!あの公園の事、言いふらしたろー!」
酢本君は顔を真っ赤にして怒っている
「え?…え?知らないよ.僕は誰にも言ってない!」
酢本君の攻勢が止まる
「じゃ、じゃあ誰が言うんだよ!知ってんの、お前だけだろう!」
酢本君は誠十郎を直視出来ず窓の方へ顔をそむけた
「分からないよ・・・」
誠十郎の小さな声でも聞こえるほどに踊り場は静かだ
誠十郎と酢本君は数回のやりとりの後、教室に戻って行った
酢本くんはしきりに「ゴメン」と謝っている
ファルディアは目が離せなかった
恐怖が頭を支配する
身体の大きな酢本君が背の低い誠十郎を殴っている場面
それを見ながらファルディアは何人もの大人に殴られる自分を思い出していた
冷や汗はあごを伝って床に落ちていた
プーカはそれをジッと見つめていた
無表情だが目が優しい
そしてファルディアの頭を叩く
ト・ン・カ・チでだ
「てめー!プーカ!そりゃねーだろう。殺す気か!」
ファルディアは恐怖を忘れプーカを怒鳴った
「いやいやいや。殺すつもりなんてないよ!もう死んでるし」
ニヤニヤしながらお笑い芸人の真似をするプーカ
「ったく!」
しばらく下をむいたままでプーカから顔を隠して心の整理をする
そしてプーカに向かって何かを言おうと顔を上げた
が
?・・・プーカが居ない
どこだ・・・?
アッ!階段を降りてきた美人教師の手を握りながら一緒に階下へ歩いている
ニヤニヤした顔が気持ち悪い
(美人教師にはプーカの存在は気付かれていません)
何故か?ファルディアは心の中でプーカに感謝していた
第1話「天使プーカとの出会い」
https://kurokoda64213.com/archives/25744634.html
第2話「天使の夜道」
https://kurokoda64213.com/archives/25767152.html
第3話「スパイする天使」
https://kurokoda64213.com/archives/25768305.html
第4話「プーカの正体」
https://kurokoda64213.com/archives/25843251.html
第5話「逢引き」
https://kurokoda64213.com/archives/25855711.html
第6話「優しい誠十郎」
https://kurokoda64213.com/archives/25987840.html
第7話「スクールヴァルナの誠十郎」
https://kurokoda64213.com/archives/26043357.html
第8話「誠十郎、精一杯の切実」
https://kurokoda64213.com/archives/26206847.html
第9話「誠十郎、夜に駆けなさい」
https://kurokoda64213.com/archives/26244629.html
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