１９７３年生まれのまる男は小学校1年の頃から、ある理由でプロも通うボクシングジムで学校以外、ボクシング漬けだった。そして、中学校、友達に誘われて野球部に入る。運動神経は怪物だけど、常識のだいぶずれた少年と少し奥手な仲間たちの物語である



まる男は大手通販サイトで
願いの叶うボールを7個買った
透明なオレンジ色で中に星が見える
まる男はボールに祈り
神龍を呼び出した。
願いを言うように促される
思わず手を握りしめ、まる男は願った
「世界中の女を幸せにしたい」
願いは受け入れられ神龍は姿を消した

そのあと、世界はまるで神龍の魔法にかけられたように変わり始めた。

まず、日本では「選択的夫婦別姓制度」が即座に導入され、結婚後も自分の姓を維持したいか自由に選べるようになった。 企業の管理職や国会議員の女性比率は50%に達し、テレビ女性政治家やCEOが正義と意見を考える姿が当たり前に。 同一労働同一賃金が法律で義務化され、女性の平均賃金は男性と完全に一致。

働き方改革も加速した。全国の企業には「フレックスタイム制」と「リモートワーク」が標準装備され、子育て中の女性が午前中だけオフィスに出勤し、午後はオフィス以外でも働ける。どの企業も社内に保育所を設置し、育児休暇中の給与は100%保証。

街には「女性コミュニティハウス」がオープン。 そこで、シングルマザーが子育ての悩みを語り合い、キャリアウーマンが投資の勉強会を開き、シニア女性がフラダンス教室で笑い合う。 無料のメンタルヘルスカウンセリングも提供され、仕事や家庭のストレスを気軽に相談できる。 ハラスメント防止法も強化され、職場や電車での不快な体験は激減。 男性層の義務教育で「ジェンダー尊重」を学び、女性と対等なパートナーとして取り組むのが当たり前になった。

「女らしさ」や「年齢にふさわしい振る舞い」を考える広告は姿を消し、代わりに、科学者として活躍する20代の女性、趣味の登山に没頭する50代の女性、孫と一緒にゲームを楽しむ70代の女性がCMで立っていた。

数年後、まる男は丘の上で穴の中に向かって叫んだ
「そういうんじゃねー！女を幸せにしたいってのは結婚したいってことだろうが！」

まる男の意志とは関係なく世界中の女性は幸せになっていった